「空き家特例」を検討される場合は早めに専門家へご相談を!

2021/04/27

先日、お客様から相続で取得した空き家を譲渡した場合の3,000万円の特別控除、いわゆる「空き家特例」(※)の適用を検討したいとのご相談がありました。

相談者いわく、「代表相続人である自分が遺産分割協議書、相続税申告書を作成し、既に納税申告も済ませた」とのことであり、「共有者である他の相続人と共に、この特例の適用を検討したい」とのご要望でした。

ところが、持参された資料を拝見したところ、相談者のみが多数ある適用要件のうちの一つを満たしていないことが判明しました。

理由を尋ねると、その要件については、自身が特例を受けるために必要な要件であるとの認識が無かったとのことでした。

相談者は既に相続税の申告・納税を済ませており、不備があった要件自体、そもそも修正申告等の対象としては馴染まないものでしたので、代替案として「相続財産の取得費加算の特例」適用を提案させて頂きました。

今回のケースでは、「空き家特例」が適用できた場合、相続不動産の売却に伴う譲渡所得税は掛からずに済みました。一方で「取得費加算の特例」を適用した場合、少なからず譲渡所得税が掛かることになります。

特例適用の有無による税額の差異をざっと試算したところ、国産の新車一台が買える程の金額となりました。これはもはや「たら」「れば」では済まされない水準です。

このように「空き家特例」には多くの適用要件が定められていることから、適用可否の判定に際しては、今回のケースと同様に、専門家でないと的確な判断が難しい場合が多いのも事実です。

このため、出来るだけ早い段階から税理士等の専門家に相談されることをお勧めします。

当事務所では、協業先の司法書士等との緊密な連携により、特例要件についての広範なチェックのみならず、将来の相続財産の売却なども視野に入れた税務~不動産一気通貫での対応を承ることが可能です。是非お気軽にご相談下さい。

(※)「空き家特例」の詳細につきましては、3月3日付お知らせ『相続により取得した居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円特別控除の特例が、令和5年12月31日までの譲渡に期間延長されました』をご覧下さい。