令和3年度路線価が発表されました~県内の標準宅地は8年連続の上昇に~

2021/07/02

令和3年7月1日 国税庁は令和3年度の路線価を公表しました。

路線価は、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示)を示したもので、国税庁が毎年7月初頭にその年の1月1日時点における全都道府県の路線価を公表しています。また、路線価は、先に国土交通省が公表した令和3年地価公示価格のおおむね8割程度を目安としており、令和3年1月1日から12月31日までの間に相続、遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用されます。

令和3年度は、標準宅地の評価基準額の対前年変動率が、コロナ禍におけるインバウンド需要の減退や消費低迷等の影響を受け、観光地や繁華街を抱える都市で下落傾向が顕著となり、全国平均でも▲0.5%と、6年振りの下落となりました。また、首都圏でも、外国人観光客の多い浅草・上野で▲10%以上、秋葉原・銀座・新宿等の都心商業地で▲5%以上の下落となり、下落地点が横ばいないしは上昇を大幅に上回りました。

これに対し、県内は比較的堅調で関東甲信越地域では対前年比+0.2%と唯一のプラスとなりました。特に、船橋市、市川市、柏市等の県北西部地域を中心に、対前年比での上昇幅こそ大幅に縮小したものの、1~3%程度の上昇となりました。これは、今年の地価公示における県内動向においても述べたとおり、コロナ禍で隣接都県からの人口流入に伴い不動産取引が活発に行われたこととも密接に関係しているものと思われます。コロナ禍に伴う経済等への影響は地域によっても異なりますので、県北西部地域においてこうした傾向がいつまで続くかは判りませんが、県土全体で見た場合、中長期的には今後人口減少地域を中心に下落幅が徐々に拡大してゆくことが予想されます。

路線価の下落は、相続税納税者にとっては(財産評価上)都合が良いのですが、逆に相続した実家の売却等の場合においてはマイナスに働くため、一概に良いとも言い切れません。また、地価公示や路線価等の公的地価は、実勢相場の動きにやや遅れる形で反映されるため、公的地価が下落基調にある時は、実勢相場が先行して下落しているのが通常です。

こうした相場下落時における相続財産の売却等において、最終的な手取額を最大限確保するためには、譲渡益課税に係る節税メリットを上手に活かすことがポイントとなります。そのためには、当初から譲渡益課税に係る各種特例の適用等を念頭に置いた税務・不動産一体での売却活動を行うことが、最も有効な手段といえるでしょう。

当事務所では、こうした各種特例の適用を念頭に置いた不動産売却を承ることが可能です。是非お気軽にご相談下さい。