不動産コンサルティング月刊誌への連載エッセイ(第5回)のご紹介

2023/07/03

不動産コンサルティング従事者向け月刊誌「不動産フォーラム21」(公益財団法人不動産流通推進センター刊)に随時掲載中のエッセイ「不動産税務相談の現場から」(第5回 )が、本誌6月号に掲載されました。
今回は、”開発協議不調後に締結されていた『変更合意書』”のタイトルにて、弊所(合同事務所)設立の契機となった相続税申告案件にまつわるエピソードを採り上げました。
親子2世代にわたりお付き合いを頂くクライアント保有の不動産売却に際し、信頼する不動産業者からよもやの対応に遭い、一度は窮地に立たされたものの、辛くも難を逃れることが出来たという痛恨のエピソードです。
相続に限ったことではありませんが、とりわけ人生や財産に関わる問題は、それに関わる専門家をはじめ沢山の人々の助けを借りつつ解決に至るケースが多いかと存じます。
時にプロジェクト成功の鍵は、一にキャスト、二にシナリオ、三にタイミングとも言われます。
これらのいずれか一つが欠けても大願成就には至りません。
このエピソードにおいても、いわゆる”終活”の一環で行った開発素地の売却にあたり、実務に精通した不動産業者の力を借りずに話を先に進めることは出来ませんでした。
無事売却が終わった時にはクライアントから大変喜ばれ、ホッと胸を撫で下ろしたものでした。
ところが、5年の歳月が流れた後、そのキャスト同士の信頼関係を逆手に取る形で、自利を優先した業者からハンコ代を要求されるという予想だにしない展開に見舞われました。

一般に、プロ同士がタッグを組み問題の解決にあたる場合、お客様や関係者相互の信頼関係無しには問題解決を図ることができません。
とりわけ、相続実務においてはこの傾向が顕著です。
しかしながら、専門性の高い分野であればあるほど、専門家相互の垣根は高くなり、垣根越しに相手が何をしているのか判らないと言ったことがしばしば起こりがちです。
エッセイでは、「信頼」することと「信用」することは別物であること、つまり、人を信頼しても決して「人任せ」とはしない専門職業家としての責任の重さについて触れました。
もっとも、実務上は信頼する相手であるからこそ、お互いの情報共有を一層高め、適度な緊張感を保ちつつ、健全な協業関係を築く点が重要であるように思います。
これはクライアント(お客様)との関係においても同様であり、問題解決に至るプロセスを、適時・適切に、透明性を持って判り易く伝えることが信頼性をより高めることに繫がるものです。
そして、この「信頼」の礎(いしづえ)となるのが、われわれ専門職業家に課される高い倫理性ではないかと思います。

とりわけ、人生や財産に関わる問題を預かる専門職業家として大切な矜持(きょうじ)は、その専門的な知見は勿論のこと、「誠実性」に根差した職業倫理観と、「公平無私」の視点で物事に向き合う姿勢であると我々は考えます。
こうした考え方を共有できるアライアンス・パートナー(協業先)と共に問題解決に当たることにより、お客様が安心して、心からご満足頂ける、真のワンストップサービスが実現できるのではないかと思う次第です。
弊所では、今後も様々な視点から情報発信に努めて参りたいと思います。