相続登記が義務化されることになりました

2021/05/10

令和3年4月21日の参議院本会議において、民法・不動産登記法の一部を改正する法案が可決・成立しました。これは、近年深刻化している所有者不明土地問題の抜本的な解決に向けた対策の一環として行われたものであり、関連するいくつかの法案についても新設・改正が行われました。

改正法が施行されると、相続人が相続・遺贈により不動産を取得したことを知った日から3年以内の相続登記が義務化され、正当な理由なくこの義務を行ったときは最高で10万円以下の過料に処せられることとなりますので、「うっかり忘れた」と言ったことにならないように注意が必要です。

なお、施行時期については、制度の運用にあたり行政のシステム対応も必要となるため、今後3年以内を目処に施行される予定となっています。

相続分野に関連する主な改正点としては、下記の2点の方策があげられます。

  1. 不動産登記情報の更新を図るための方策(不動産登記法関連)
    ・相続登記の義務化・罰則の適用(上述のとおり)
    ・法務局における相続登記事務手続の簡便化、市町村との連携に基づく死亡情報の収集やそれらの情報を(登記官の)職権により不動産登記情報へ反映させる仕組みの創設
  2. 所有者不明土地の発生を防ぐための方策(民法等関連)
    ・相続した土地所有権の放棄を認め、このうち一定の要件を満たす土地については、所有権を国へ移譲することを可能にする制度の創設(いわゆる「相続土地国庫帰属法」の新設)
    ・遺産分割の期間についての制限(相続開始の時から原則10年以内)の創設

上記の他にも、所有者不明土地の円滑かつ適正な利用を促す観点から、共有者の一部が不明であっても土地の利活用を可能とするための「共有制度の見直し」や、隣地所有者が不明な場合でもライフラインの敷設等を目的として隣地の使用を可能とするための「相隣関係規定の見直し」等について、民法の一部改正が行われました。

これまでは、相続税の申告が不要な場合等において、費用や手間がかかる等の理由から、相続登記を行わない(またはうっかり忘れた)というケースが少なからず発生していました。

相続登記を放置したままにすると、時の経過とともに相続人が膨大な数になり手が付けられない、或いは隣地所有者から境界確認の承諾や土地の使用許可等を求められた場合に速やかな対応が困難になる等といった事態を招きかねません。そうした観点からも相続が発生したときは、申告の有無にかかわらず速やかに相続登記を行っておくことが望ましいと言えましょう。

当事務所では、相続発生に伴う各種手続についても、司法書士をはじめとした協業先との緊密な連携により、ワンストップでの迅速かつ的確な対応が可能です。是非ご相談ください。